ひめ恋 SelectionTL
俺を誘拐したキミ 2午後2時、陽のあたる密室で
「この陽の当たる密室で、君と二人、生きていけたら。」
政治家の長男として生まれ、幼い頃から欲と権利で汚れきった大人の世界を見続けてきた湊(かなえ)は、そんな境遇から彼を救うために誘拐を企てた初恋の少女・鈴(すず)の力を借りて、父親の元から逃げ出すことに成功した。
政治家の跡を継ぐことも、別の将来を選択することも放棄して、鈴と共に最果ての地で暮らし始める湊。
誰にも邪魔されることなく、思うままに愛しあい、笑いあって、互いのぬくもりに包まれながら過ごす二人きりの生活は幸せだったが、そんな夢のような毎日は、湊の父親の急病の知らせで突然終わりを告げる。
「わたしたち、家族みたいだった。でも、現実から逃げてはいけないよ――。」
幼く不器用だった二人が選び取った、悲しくて辛い「誘拐」の結末。
そして、そんな二人に訪れる未来の形とは?